黒いコルセット、絹のストッキング、とぎすまされた尖端と踵をもつハイヒール。フェティッシュをまとったスクブス(淫夢女精)たちが、画家の精液を塗り込めたタブローの中で繰り広げる終わりなきエロスの煉獄。
拳銃自殺を遂げる最期の瞬間まで、偉大なスキャンダリストであった画家は自らに誓う。「善き他者であるより、悪しき自分自身たれ」と。
]]>不浄なるものの支配にまさに跪かんとする刹那の愉楽。美貌の王国の貴公子たちは陶然として闇と腐敗の世界に身をゆだね、コキヤージュで覆われたバロックの生けるデコールと化す。頽廃を極めた山本タカトのアンソリット審美学。
2年振り、山本タカト待望の第4作品集。
]]>かつてハンス・ベルメールが球体関節人形によって試みた倒錯的少女幻想を、かくも挑発的に継承し、ピグマリオン美学における究極のエロティスムを創造した、苛烈にして荘厳な「愛と死」のブライダル。
]]>ヨーロッパに数多く現存する、凄惨な歴史の舞台となった古城。ジル・ ド・レエがソドミーに溺れたシャトー・シャントセの廃墟、怪物伝説が 巣食うフランケンシュタイン城、昼なお暗いカルパチア山脈の渓谷に聳 える吸血鬼ドラキュラの城。ひたすら世界中の血塗られ呪われた霊場を 記録し続ける英国人写真家サイモン・マースデンが、アイルランド、イ ギリス、ドイツ、ルーマニアの名だたる幽霊城を訪ね、赤外線写真によ る独特の撮影手法でその怪奇の歴史をたどるゴシック・ホラーの旅。サ イモン・マースデンの代表作待望の復刊。
サイモン・マースデンは、1948年イギリス生まれ。赤外線写真を 使った幻想的、超自然的な作風で廃墟や霊域を撮り続け、国際的な評価 を確立している写真家。ゲッティ美術館、パリ国立図書館、ヴィクトリ ア&アルバート美術館などがコレクションを所蔵している。
〽うまれた時が悪いのか、それとも俺が悪いのか・・・
南無阿弥陀仏を唱えてみてもどうせ俺たちゃ地獄行き。
丸尾末広一座、昭和グランギニョル血飛沫劇場第弐幕!
死、腐敗、損壊。言い知れぬ寂寥感と恐怖に支配され永遠の廃墟と化した時空。それでも画幅にはエロスの魂だけが虚ろに木霊している。先頃刺殺体で発見されたポーランド孤高の画狂ベクシンスキーの日本唯一の作品集、追悼復刻版!
]]>フィレンツェ大学付属「ラ・スペコラ」博物館の解剖学蝋人形。フィレンツェには天体観測所に由来する「ラ・スペコラ」と呼ばれる博物館が存在し、600体に及ぶ鑞細工の解剖学模型が所蔵されている。「ラ・スペコラ」最大のハイライト「解体されたヴィーナス」と呼ばれる美少女の死体がモデルとなった鑞人形は、ボッティチェッリのヴィーナスさながら真珠のネックレスをつけて横たわっているが、腹部にあたる蓋をはずせるうえに、内臓をひとつひとつ取り出し、最後に子宮の蓋を開け中の胎児を覗くことすらできる。また鍛え上げられた筋肉美の男は表皮をすっかり剥ぎ取られ、血管・神経繊維を露出させた姿でヘラクレスのごときポーズで永遠に静止している。キリストを思わせる若い男の首は、頭蓋骨を切り開かれ血肉で装飾されたバロックの劇場のような脳を晒している。これら17世紀末から18世紀にかけて作られた精巧無比な鑞細工は、昨今のプラスティネーションの流行と同様、当時の一般大衆の好奇を強烈に刺激した解剖学ブームと呼応したものでもある。純粋な学究的価値を超越し、死の匂いを湛えた濃厚なエロティシズム溢れる蝋人形を、あくまで美術作品としてとらえた佐藤明の写真は医学的な記録写真としてとらえたタッシェン版と全く異なる優美さと荘厳さをたたえ本書を比類のない存在たらしめている。
]]>嗚呼、復刻嬉し!
二十一世紀新時代を擔(にな)う愛國少年少女の皆々様!
これぞ昭和頽廃(デカダン)の奇才、
丸尾末広画伯の筆なる豪華絢爛地獄絵巻なり。
名にし負う暗黒藝術の神髄をとくと御覧じろ!!
すべてがエクストラ!装幀を一新、
寺山修司原作「身毒丸2000」「大山デブ子の犯罪」
「邪宗門」公演ポスター画、ジョン・ゾーン率いる
ネイキッド・シティの怪アルバム「トーチャーガーデン」(廃盤)
収録後行方不明となっていた幻の傑作群(15年振りに発掘)、
荒俣宏著「帝都物語」挿絵を含む新旧101点、
さらに漫画「色彩間苅豆」、デッサン、エッセイ等を加えた
超豪華改訂増補版第一弾!!
翻訳 山形浩生
『エイリアン』でオスカーを獲得したギーガーは今や世界的に注目を集める最もホットなアーチストとして、絵画制作のほか映画美術はもちろんポップミュージシャンのプロモビデオのディレクションなど、幅広い分野で華々しい活躍を続ける。また彼が創造した「バイオメカノイド」と呼ばれる人間と機械が混交したクリーチャ−、それら未曾有の生命体が棲息する近未来の神秘主義的な廃墟世界を舞台に、時代の渾沌とした空気やコンピュータ文明とも呼応しあったシリコン・オカルトのアイコン群が次々産み出されていくことになる。『ネクロノミコン1』の発表、そして最愛の恋人リ−の自殺から10年の歳月を経て、ギーガーが満を侍して発表した第二作品集こそ『ネクロノミコン2』にほかならない。「バイオメカノイド」の後、頽廃を極め死があまねく統べる世界のなかにも、荒々しいエロティシズムと生命観を漲らせた傑作群「エロトメカニクス」が登場する本書は80年代ギーガーの円熟期を代表するモノグラフとして美術史上に惨然と虹彩を放つ。
]]>『エイリアン』の監督に抜擢されたリドリー・スコットは、映画の核心を担うモンスターのデザインを誰に託すべきかに行き詰まっていた。そんな折、脚本家ダン・オバノンから見せられた1册のスイス人アーチストの画集に釘付けになる。リドリー・スコットがこの映画でイメージする暗黒の世界観のすべてが凝縮された本書こそ『ネクロノミコン』にほかならなず、彼の目にとまった作品「ネクロノーム4」はもはや手を加える必要のないほど完璧に「エイリアン・モンスター」の禍々しくも優美な姿を体現していたのだった。
2004年パリのアル・サンピエール美術館で大々的な回顧展を開催したギーガーは、20世紀末を代表するシュルレアリストとしてますます高い評価を得ている。本書はH.R.ギーガーのまぎれもない天才を証明し、悪魔的想像力が結晶化した衝撃の第一作品集である。
]]>噎せ返るフェミニニティとエロティシズム。魔術的官能が渦巻くアラベスクの饗宴。80年代以降のカラー作品を中心に(エヴァおよびイジスを含む)編み上げられた、絢爛たるイリナ・イオネスコのフォト・マジック。
]]>母娘による禁断のフォトセッションは、かつて写真史の醜聞だった。作品発表から三十年の歳月が流れた今、イオネスコの「エヴァ」こそ、ロリータ・エロスの聖典、デカダン美学を極めたバロックの劇場と讃えられ、現代の神話となった。
]]>翻訳 田中克己
21世紀、「エイリアン・モンスター」ふたたび。重金属と電脳の神々に捧げられた秘教的イコン群によってSF図像学のパラダイムを革新した天才芸術家HRGの金字塔。アカデミー賞に輝く、オリジナル・エイリアン、デザイン&ドキュメント。
]]>ますます洗練され極めれられた悪趣味の美学。噎せ返るアラベスクとグロテスク。もはや性別さえ判然としない麗人たちが織り成す不毛な性愛絵巻。ネクロマンティックな意匠渦巻く、『ナルシスの祭壇』から2年ぶり、待望の最新作品集。
]]>澁澤龍彦が終生その人形愛について、思いを巡らせたシュルレアリスト、ハンス・ベルメール。本書は現代美術史に呪術的球体関節人形の誕生を刻印し、日本の創作人形世界に多大な影響を与えたベルメールによる貴重な人形写真集成である。エッセイ/巖谷國士
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