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July 08, 2006

『フランケンシュタインの花嫁』は、異色の人形作家三浦悦子と写真家谷敦志の苛烈なセッションによって産み出されたまぎれもなく人形作品集の傑作。

痛々しいほどに被虐的な外観を纏った三浦悦子の人形たちは、徹頭徹尾不可侵の処女性をスティグマータとしてその倒錯的な身体に刻印された聖者だ。また写真家谷は三浦人形に一貫する超越的なまでの被虐性と聖性を見抜き、三浦人形の本質をさらに際立たせるべくその欲望に真正面から応え、容赦ないカメラの視線を浴びせかける。彼が本書でアプローチした窃視症的な撮影スタイルには奇跡的にも犯罪者と審美家の眼が同居しており、この人形作品集の密室世界で展開されるエロスとタナトスのセッションを共犯者たる読者に最後の最後まで息を押し殺させるほどの緊張感を与えながら綴っていく。本書は、かつてハンス・ベルメールが自作の球体関節人形と写真によって試みた倒錯的な少女幻想を、挑発的に継承し、ピグマリオン美学における究極のエロティスムとして再び視覚化し得た、苛烈にして荘厳な「愛と死」のブライダルなのである。尚、本書には限定版付属のロビーカードとして本編未収録の14葉の写真からなる傑作掌編(『人形のはらわた』)が別途作成されている。http://www.editions-treville.net/?mode=cate&cbid=48105&csid=0
(エーテー/パン・エキゾチカ編集部)

é.t. : July 8, 2006 01:22 AM

 
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