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January 22, 2007

『ジ・アート・オブ・フィービー/コズミック・サムライ、フューチャー・クノイチ&ラウンジ・サムライ』

写真は、昨年12月20日、六本木某所で開催されたフィービー初作品集出版記念&日本酒(麻那姫伝説)発売記念パーティーの会場。満員御礼の大盛会で、会場中二階のバルコニー部分に掲げられた大判のポスターの迫力にみな魅了されていました。

フィービー・アートの魅力:
「イラストレーター」ソフトの様々なグラフィック的可能性を大胆に提示してみせた若野桂の登場以来、2000年代初頭にかけてのイラスト界はしばらくその追随者や模倣者たちの響宴に浮かれ騒いでいた印象があり、みなその手法にとらわれすぎるあまりイラストとしての各々の個性が埋没してしまっていた感がある。フィービーはそんな空騒ぎが一段落した今、当時のムーブメントとも関係なく、またソフト使いの巧拙とは別なところで、シンプルに輪郭線と平面的色使いで構成されたグラフィック表現のストレートな面白さを、ふたたび我々に見せてくれた。意思的でクール・セクシーな女性像を全面に押し出したフィービー・イラストは、80年代「デュラン・デュラン」のアルバム・ジャケット画などで一世を風靡したパトリック・ナーゲルを想起させるところがある。もちろん世代が大きくかけ離れた彼女がナーゲルを知る由もないし、まったく個性の違う女性像を目指しているけれど、我々を魅了する絵の力の源には何か共通したエレメントが存在しているように感じられる。3Dばやりの昨今、イラストの二次元性に立ちながら、シンプルなフォルムと色の鮮やかさで創り出された女性たちの存在感は強烈だ。またナーゲル・ガールもその瞳と唇のラインが特徴的だったけれど、フィービー・ガールもみごとにその個性が立っていて我々の視線を釘付けにしてしまう。しかも彼女は、イラストの原体験に幼少期に見た浮世絵や絵巻物のインパクトを抱え込んでいて、思春期のクラブカルチャーの洗礼がその後に続いていたというところが、今の彼女の個性をかたちづくっているのだ。「コズミック・オイラン、フューチャー・クノイチ&ラウンジ・サムライ」というサブタイトルが和でありながら洋でもあり、近未来指向なのか過去へのノスタルジーなのか分からない不思議で無国籍的なグルーブ感を漂わせているけれど、今回の作品集カバーのデザインはさながらオペラ/クラブ・パーティーのポスターかと見まごうほど秀逸。これぞフィービー版「蝶々夫人」とも言えるかもしれない。(編集部)


ひとことで語ると、大胆にカットされたシルエットとフィービー独自の目と唇の確立

é.t. : January 22, 2007 11:57 PM

 
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