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November 07, 2005

バスルームのあたらしい潮流を知るために(2)

ウェットルームとは何か? シャワータワーとは何か?

テレンス・コンラン『バスルーム』の中に、ウェットルームと呼ばれるシャワーを中心とした新しい欧米のお風呂文化が紹介されています(同様のものが『アテンション・トゥ・ディテール』にも掲載)。日本人にとってはあまりなじみのないものですが、言ってみればバスタブ無しのシャワーがついた洗い場のようなものを指します。欧米ではだいたいバスタブそのものが洗い場を兼用しているのでシャワーはバスタブ側についているのが一般的です。あるいはシャワーだけが独立し、バスタブに水がかからないように分けて設置してあったりします。一方日本では、基本的にはバスタブは湯舟に浸かるためのもの、洗い場は隣接したバスタブの外に設けられているのでシャワーもそちら側に設置されることが多いと思います。近年欧米では日本式の肩まで浸かれるタイプのバスタブも人気がでてきた(ホットバス)ようですが、それ以外に、やはり慌ただしい出勤前にすばやくシャワーを浴びるには窮屈で足場の悪いバスタブの中より立ったままシャワーが浴びられる洗い場専用のスペースが便利だという認識が広がってきたのでしょう。簡単に言えばスポーツクラブにあるようなシャワールームをバスタブの他に設けるということです。このウェットルーム(シャワールーム)をさらにユニット化しコンパクトにしたものが、シャワーキュービクルとか、シャワータワーとかシャワーチューブと呼ばれるようなブース状、カプセル状のシャワールームです。輸入もの国産ものを含め最近都内ショールームでもよくこの種の商品を見かけるようになりましたが、換気や給排水の問題がクリアできるのならメインのバスルームの他にこんなシャワータワーが寝室近くにあるとちょっと便利かも知れません。就寝前に、あるいは朝起き抜けにさっとシャワーが浴びられたらさぞかし気持ちいいことでしょう。そもそも日本では、バスタブと洗い場がセットになっている空間をバスルームと考えますから、欧米のウェットルーム的な発想に先んじているとも言えます。ただし欧米ではシャワースペースとバスタブをあくまで隔て互いに水がかからないようにするのを好むようですので、この点が少し違っています。日本では湿気を嫌ってあまり寝室そばに水回りをもって来ませんが、ホテルの部屋のように湿気をうまくコントロールできるなら寝室そばのシャワーは実に魅力的です。

最近のシャワーにはたいてい頭のてっぺんから足もとまで全身隈無く一度にシャワーを浴びせかけられる複数のノズル付きの給水管(シャワーバー)が設置されていてマッサージ機能も担えるようになっているものもあります。またシャワータワーの中には軽く腰掛けられるよう折り畳みの座面がついているものもあります。日本のメーカーもシャワータワーを日本的にアレンジしたものを商品化しようとする動きがあります。まだまだユニットバスの延長上にあってコスト性、メンテナンスの簡便性を優先するあまり、デザイン性や質感に欠けるきらいがあります。一方欧米製はデザイン的に洗練されていても換気や給排水等施工の面で日本の住宅事情では問題になりそうなものが多く、ある程度ユニット化されたシャワーキュービクルのようなものですら日本で普及するには改善すべき点が多いように思えます。
とはいえ全身シャワー浴が可能になるシャワーバーや、洗い場で使用するシャワー水がバスタブ内に飛散して汚すのを防ぐようなシャワータワーの隔離性も一考に値すると思われるので、近い将来バスルームとシャワータワーが高次で融合したユニークな商品が登場してくるかも知れません。(スタイル編集子)

é.t. : November 7, 2005 09:57 PM

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