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August 08, 2005

「H.R.ギーガーの世界」

ph_050808_02.jpg2004年9月から2005年2月までパリのアル・サンピエール美術館で開催されたH.R.ギーガー回顧展オープニングの模様をレポート。


展覧会主旨

今展覧会はギーガーが本格的な作家活動を始めた60年代半ばから今年度まで40年数年の軌跡を辿る包括的なレトロスペクティブ。エイリアンのクリエーターとして世に知られるギーガ−とアーティストギーガーの双方にウエイトを置いた作品構成になっており、初期の立体作品も含め貴重な作品も数多く、ギーガーワールドの変化と進化を存分に楽しめるパワフルでボリュームのある展覧会だ。


アル・サンピエールの会場構成
(ロビー吹き抜け/1階/2階)

1階吹き抜け奥では60年代のインクドローイングとフォトコラージュ40点余り(写真)と、ギーガーミュージアムに展示されることになっている「ゴーストトレイン」(詳細未確認)のミニチュアモデルを展示。


1階吹き抜け右、ギーガーミュージアムと題された円形の暗室では、映画「エイリアン」誕生までの歴史を60年代から遡り計100点余りの作品をフィーチャーしている。(タイトルや作品解説は一切なし) 暗幕が張られた入り口を入ると正面にはHRGIGERの文字のライトが暗い床に浮かび上がる。 右手にはショーケースに入った「エイリアン」のモデルがディスプレーされ、その後ろの部屋の中央には「ハルコネン」チェアとテーブルのセットが青白いライトに照らされて光っている。部屋を取り巻く壁にはギーガーが映画に取り掛かるずっと以前から画いていたインクドローイングをはじめ、映画制作当時の「エイリアン」のアイディアスケッチ等も含むモノクロ作品の数々がスポットライトのもと展示されている。天井から目線の高さで吊るされたライフサイズの「エイリアン」はまさに恐怖。ph_050808_03.jpgph_050808_04.jpgph_050808_05.jpgph_050808_06.jpg


1階吹き抜け中央の2階会場に上る螺旋階段を上った脇には、コンピュータ−チップのようなパターンを施したメタリックなテーブルと椅子がディスプレーされている。ph_050808_07.jpg


2階のセクションでは「通路Passage」と「風景Landscape」そして「Watch Abart」(‘93)のシリーズ計100点余りが展示されている。前者2ラインは60年半ばのペインティングにはじまり、「バイオメカにクスBiomecanics」 や「ネクロノミコンNecronomicon」でフィーチャーされた作品から、80年代のアーキテクチュアルな「NYシリーズ」&エアブラシ期, 最新作のスカルプチャーまで、制作年度は関係なく各モチーフに沿って集められた作品をディスプレー。(但しカテゴリー毎のタイトルや作品解説は一切なし)


見どころは90年代に入り3Dに移行してからの作品。2002年製作のアルミ製ライフサイズの「バイオノイド」、73年の「通路Passage」 「風景Landscape」をオリジンとする2004年製作の「Baby Landscape 」など。中でも67年の「Bullet-Baby」を発展させた高さ2メートル、幅1,4メートル、重さ220キロのアルミ製「Baby Machine」(’99)は圧巻。その他ではバンド「Korn」のフロントマンの依頼を受けて製作された特注の「バイオメカニカルマイクスタンド」や「エイリアン電話」なども。ph_050808_08.jpgph_050808_09.jpg


また「Watch Abart」のセクションではスウォッチの型を基にデザインされた長さ1,5メートル以上の巨大な腕時計のモデル4体がショーケースに入ってディスプレーされている。また時計のアイディア・デッサンの数々(sex toy付時計等)や時計を着けた腕や顔のスカルプチャーなどもあり、インダストリアルデザインからこの世界に入ったギーガーのアプローチとこだわりが見られる。ph_050808_10.jpg


展覧会協力パリ市

カタログ協賛スイス文化庁

レポーター:田村美穂、在ロンドンph_050808_11.jpg

é.t. : August 8, 2005 08:05 PM

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