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October 05, 2005

2種類の野波浩写真集『カオス

いずれもノーブルでありながら、
クールなスタンダード版と艶やかなスペシャル限定版

かのマリリン・マンソンが来日中にわざわざ大阪の書店で買い求めたという野波写真の特色は、ご承知のようにキマイラとして姿を変えられた美しいモデルとその周りに幾重にも重ねられた渾沌としたバックグラウンドです。経年変化の果てなのかあるいは化学反応による腐食なのか、とらえどころのない質感をたたえる背景にかろうじて人間の姿をとどめた有機生命体の亜種が溶け込んでいる妖美の世界。当初、本体表紙にもそのアンソリットな雰囲気を反映させたいと考え、あえて気味の悪い質感を持つクロコダイル柄の紙を最初に選定しました。ところがこれが大変高価な用紙であるのと特殊紙のため在庫が限られやむなく断念。次の候補のやはりクロコ(ダイル)と呼ばれる細かなウロコ柄がびっしりとついた用紙に変更(実はこれも高い紙だった)することにしました。クロコという名称の紙ですが、どちらかというとリザード(蜥蜴)っぽいです。ぶつぶつの質感がちょっぴり気味が悪くて素敵です。ダストジャケット(カバーのこと)はバストショットの女性モデルの写真を葡萄色がかったダークなパール色のフレームが囲むというノーブルなデザイン。題字の『CHAOS』は、今回、野波氏におねだりし直筆を頂くことにしました。シックなマット仕上げのジャケットに、直筆のCHAOSの題字とHIROSHI NONAMIの著者名を、光沢のある黒のUVインクで浮き立たせています(またも制作泣かせの高コストな仕様!!でもカッコいいです)。旧版も黄金に輝く豪華なデザインでしたが、今回のエディシオン・トレヴィル版は写真図版も増え、ページも増え、造本資材も前作以上に凝り、ダークでファンタジックな野波ワールドが一層輝きを増すよう設計されています。少々値段ははりますが大判サイズでかつハードカバーという(その他にも金の箔押し背文字、メタリックな質感の別丁扉と贅沢はとどまるところを知らず)はるかにお値段以上の価値がある高級感溢れる写真集に仕上がりました。

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どうしてもあきらめきれなかったのが、最初に選定したクロコダイル柄の用紙です。かろうじてひと箱だけ残っていた在庫で、400部だけ限定版を制作することにしました。野波氏と話し合い、じゃあということで、ダストジャケット(カバーのこと)もダークな色調のスタンダード版とは対照的に、限定版は気品のある色にしようということに決まり。カバー表と背にかけて柔らかいパールピンク色を敷き詰めるということになりました。この限定版には高級化粧品のパッケージを思わせるような艶やかさが漂います。本体のワイルドなクロダイル柄との対比も際立ちます。あたかもロココ趣味のマダムの閨房といった風情のスペシャル限定版になりました。スタンダード版もクールでカッコいいすが、これもちょっぴりセクシーですごくいい。カバーをはがすとワイルド。ハッキリ言って両方とも絶対欲しい! 何とお値段も一緒です(本文図版はもちろん全く共通の高品位印刷)!
ただし、このスペシャル限定版はエディシオン・トレヴィル・オンラインショップか写真展開会場(art space K)、著者サイン会を予定している書店など一部の売場のみの取り扱いとなります。売り切れ御免です。お早めにお買い求め下さい。(制作室)

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スペシャル限定版取扱店
◆エディシオン・トレヴィル・オンラインショップ
◆紀伊国屋書店新宿南店
◆大阪心斎橋アセンス
◆art space K

é.t. : October 5, 2005 12:21 AM

comment

御礼遅くなりましたが「カオス」を復刊くださり、本当に本当にありがとうございました。
私が野波先生の存在を知った時には既に、旧版は絶版状態。幻の作品として、水面下では高騰の一途を辿っていたのですから…!

それが時を経て、更に進化した形で復刻してくださった事に、深く感謝しております。
スペシャル限定版、期待に違わぬ素晴らしい作品でした。
そしてart space Kでの写真展も先日拝見しましたが、オリジナルはまた別の趣があり、圧倒される思いで帰途につきました。
今後、更なる面白い企画が開催されます事を、楽しみにしております。

そして残すは、「ユリカ」の復刊ですね!
強く念じておりますよ~。

ところで話は変わりますが、フランス幻想絵画の鬼才「ジェラール・ディマシオ」氏の画集をトレヴィル様にて発刊くださる事を、ぜひ企画ご検討頂けないものでしょうか?
日本では残念ながら、過去に2度行われた展覧会での図録しか存在しません。
それでも、根強いファンは未だに大勢おられるようです。
野波先生のファンなら、きっと!大好きな世界観だと思うんです。
いつか…の願いを込めて、投稿させて頂きました。お目に留まりますように。

投稿者 ゆきーにゃ : December 12, 2005 12:11 AM

 
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